言えよ、俺が欲しいって。


「ちょっ……困るよ、相川くん!」



相川くんから携帯を取り返そうとするけどチビなあたしが手が届くわけもなく……あたしの携帯は、相川くんのポケットに入っていった。



「あたし……七瀬くんのところに行かないと」



もう、変な誤解はされたくないもん。
七瀬くんだけ見ていたいから。



「最後じゃん」



「え?」



「どうせもう、俺のとこ来ないだろ。だったら、ちょっとでいいから相手して」



あたしの手を握りしめる相川くん。


七瀬くんの手とは違って。
少し焼けた肌で筋肉質。


白い肌で細い七瀬くんとは大違い。



悲しそうな表情をする相川くんに、決心したはずの心が揺れる。



あたしの、ダメなところだ。

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