好きになってよ、王子様。
ハッとして顔を上げれば知らない顔。
同じ制服を着崩して、チャラチャラとしている男子3人。
ネクタイの色が赤色、ということは3年生だから先輩だ……。
この人たちのことは知らないのに、何で声をかけられるんだろう?
「あ、あの……離してもらえませんか?」
「無理だな」
「誰かと間違えて……」
「花本星奈(はなもと せいな)だよな?」
「えっ……と、あの……」
私の名前を知られていたことに驚きで、言葉が出てこなくなる。
どうして私の名前を知っているの?
ちょっと、怖いな……。
「ち、違いま……」
「違うとか言わせねぇから」
「っっ!」
掴まれている手にぎゅっと力を込められる。
思いのほか強くて、その痛さに顔を歪めた。