あなたに捧げる不機嫌な口付け
諏訪さんが目を見張った。


面倒臭いから、これくらい察せる勘の鋭い男になってくれないだろうか。


「君が俺を選ぶ理由?」

「私にもメリットが必要でしょ」


私には別に諏訪さんへの好意もないのに、メリットがないことなんてするわけないじゃないか。


彼女とやらは、きっととても面倒臭い。


時間はもちろん取られるだろうし、この人モテそうだから、何かしらの厄介ごとがありそうだし。


だから、私の労力だとか時間だとかに対する対価を求めてもいいはずだ。


仮に彼女とやらになるとして、こちらに何かを求めるのなら、たとえ等価交換とまではいかなくても、諏訪さんも何かを差し出すべきだろう。


まあまあ捨てても惜しくない、あってもなくてもお互いの足枷にはならない、そんな都合のいいカードを切る必要がある。


そして、今、よく知らない相手から引き出せるものは情報くらいしかない。


私は彼女になってお金が欲しいとか、物が欲しいとかではないし、もしそういう具体的な利益をねだったらちょっと、あまりに駄目だろう。

こう、いろいろと。


一番穏便なのは情報になると思う。


——どうして私が選ばれたのか、聞く権利はあるはずだった。
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