あなたに捧げる不機嫌な口付け
早く来てよ、と心中諏訪さんを罵りながら、俯いて何とか耐えている間にも、四人組は何かを下卑た笑いのまま話し続けている。


この状況はつまり、分かりやすく断れと、そういうことなんだろうか。


無視しないでよと絡まれても流していたんだけど、何度も話しかけられて面倒臭いので、とりあえず無難に言ってみる。


「待ってる人いるので」

「友達? 一緒に行ってもいいよ?」


ぐわあ苛々する。


なんでこういう人たちって無駄に同じような会話をするんだ。


それに私、こういう髪がぱさぱさしてる人って嫌なんだけど。


別に染めててもいいけど、身だしなみはきちんとしようよ。


無表情、だけどとにかく不快な私の剣呑な雰囲気と、巻き込まれたら最後、絶対に面倒臭い不穏な成り行きとの相乗効果なのか、周りは素知らぬ顔で歩いて行ってしまう。


一瞬目線を向けたそこの人、遠慮しないで助けようよ。


って、何か怯えてるみたいだ。


私なわけはないから私の後ろだろうか。


……何かあったかな。


思わず振り向こうとした私に被せるように、這うような低さの声がした。


「残念だけど、俺はあんまり一緒に行きたくないかな」
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