あなたに捧げる不機嫌な口付け
『ごめん、学校まだだった? 終わったら連絡して』


分かった、もちろん分かったけどその旨も送れないんだごめん。


どうしようと思いながら担任を見据える。本当に早くして欲しい。


と、諏訪さんからもう一つ送られてきた。


『既読ついてるし返信はしなくてもいいから!』


この状況を察してのことなら、細やかな気遣いだ。

そして暇人だ。


諏訪さんはいつまで待つつもりなんだろうか。


用件が今まで通りなら、今日は諏訪さんが誰も呼べなかったんだろう。


誰も呼べなかったから私は来られるか確認するはずで、つまり、暇人である。


画面に映るそれには、文末ににこにこ満面の笑みのきらきらしい顔文字がついていた。

きらきらしいな、うん。女子力の格差だ。


周囲から無味乾燥過ぎると評される私の文とは雲泥の差がある。


この可愛らしい絵文字も気遣いだったらどうしてくれようか。


とりあえず、この長ったらしいお話が終わったら、即行電話するくらいはしようと思う。
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