捕まえてごらんなさいっ!~意地っ張り令嬢と俺様侯爵の溺愛攻防戦~
さっき触らないって言ったじゃないの!

まったくランスと言う人は、どこまで頭の回る人なのだろう。

そう言われてしまったら向くしかなくなるじゃない。


仕方なく私はランスの方へと身体を向ける。

すると直ぐ近くにはランスの精鍛された顔があった。

ビクリと身体が少し跳ねる。


宝石のようなライトブラウンの瞳。

その瞳に私が映っているのが分かるほどにその距離は近い。


「ありがとうアリシア。お前の顔を見つめながら眠れるなんて、とても幸せだ」


ランスは私を見つめ、少し微笑んでいる。

愛おしいものを見るかのように、優しく。


「そんな顔で私を見ないで……」


目を逸らしたいのに、逸らせない。

その瞳だけで、どうにかなってしまいそう。


「どうして?」

「は、恥ずかしいからよっ!」

「すべてが愛おしいと思うんだ。ずっと見ていたいほど……。その瞳も、鼻も、唇も、全部私以外の誰の目にも触れさせたくないと思うほどに、アリシアを愛しているんだ」


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