捕まえてごらんなさいっ!~意地っ張り令嬢と俺様侯爵の溺愛攻防戦~
……凄いことなのだろうか。

甚だ疑問に思うが、ランスの口ぶりから決してふざけて言っているようには思えなかった。


でも、私がランスを癒している。

騎士団長ランスロット=アーチャーという人間は、私がいるから存在している。


それはさすがに己惚過ぎだとは思うが、それでもそう言ってくれることが素直に嬉しいと思った。

婚約破棄をされたときから、私に価値なんてないってずっと思っていたから。


ただの慰めでもいい。

ひとりでもそう言ってくれる人がいて、とても救われる。


「だから、自分のことをなにも取り柄がないなんて言わないで欲しい。自身の魅力に気付かずに己を陥れるような発言をするのは愚かなものだと思っているから。だから私はお前を大馬鹿者だと言ったんだ」

ランスは悲しげな表情を浮かべた。
胸がズキリと痛む。


「……ごめんなさい。もう二度と言わないようにするわ」

「分かってくれたならいい。もっと自分に自信を持て、アリシア。そうすればもっと君は輝く」


ランスの言葉が胸に響く。


――と同時に、ある懐かしさを覚えた。


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