捕まえてごらんなさいっ!~意地っ張り令嬢と俺様侯爵の溺愛攻防戦~
「――なぁんて、言うと思った?」


……え?

目の前のベルフォンヌ様は、先程までの厳しい表情とは一転、とても朗らかな顔をしていた。

私は思わず目をぱちくりさせて、ベルフォンヌ様を見やる。

今までの重々しい空気もとうに消え去り、まったく感じられなくなっていた。

「ごめんなさいね、ちょっとからかってみたかったの。どんな反応するかな、って」

「え、っと、それは……」

「冗談よ、真に受けないで。逆にあのランスロットに相手ができたって、私も嬉しく思っているところなんだから」


……冗談?

先程の発言は嘘だということ?

頭の中が混乱して、うまく整理がつかない。

ベルフォンヌ様は口元に手をあて、笑いを堪えている。

案外お茶目なお方のようで、私は呆気にとられた。


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