捕まえてごらんなさいっ!~意地っ張り令嬢と俺様侯爵の溺愛攻防戦~

「はいはい、痴話喧嘩はそこまでにね」

そう言って、私とランスの間に流れた不穏な空気を蹴散らすように、パンパンと手を鳴らした。

ランスはハッとした表情を浮かべ、ベルフォンヌ様に視線を移す。

ベルフォンヌ様は変わらず呆れた表情を浮かべていた。

「ほんっとに、馬鹿なんだからランスロットは。なんでそういうところに気が回らないのよ、だからいつまで経っても報われないのよ」


「ば、馬鹿?」


「そうよ、馬鹿じゃない。肝心なことを言わずに、愛の言葉ばっかり囁いているんでしょう?軽い女ならまだしも、真面目なアリシアがそんな言葉に乗るとは思えないけど。それに、その強引な物言い、相手が誰だろうと嫌がるって思わない?」


ベルフォンヌ様は少しきつい口調で、ランスに言った。

ランスは口篭もる。

これ見よがしに、ベルフォンヌ様は畳みかけるように話を続けた。


「もう少し素直になりなさい、ランスロット。相手に察してもらうには、もっと自分をさらけ出さないと。隠していることがあるでしょう?それを相手が気付くまで隠し続けるのは、間違いだわ」


「おっ、お言葉ですが、私は嘘など言っておりません!アリシアに伝えた言葉はすべて真意のあるもので……」


「だーかーらー、そこに理由がないじゃない!理由なく結果や結論を言ったって、相手が納得するとでも思ってる?その理由を察しろという方が無理難題だって言っているの!」



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