捕まえてごらんなさいっ!~意地っ張り令嬢と俺様侯爵の溺愛攻防戦~
……いや、ない。
そんなことあるはずない。
だってあり得ないもの。
今まで話すらしたことのない人間が、私を好きになるはずなんて。
どこにでもいるような、ただの伯爵令嬢である私を好きになるはずなんて……。
「ないっ!!」
そう言って勢いよくソファーから立ち上がる。
突然大声を出したものだから、アーチャー様は少し驚いた表情を浮かべた。
「……なんだ?」
「あり得ない!アーチャー様が私を好きだなんて、絶対にないっ!!」
私はキッとアーチャー様を睨んだ。
最大の悪ふざけだと思った。
色んな可能性が消えてしまった以上、もう答えはひとつしかないもの。
だってどう考えても理解できない。
どこに接点があったというの?
アーチャー様を見たのは、一年前のあの夜会でだけよ?
それ以外は顔も合わせたこともない。
私がどんな性格の人間かすらも分からないのに、どうやって好きになるというの!