【完】ファントム・ナイトⅡ -アノ日ト儚キ妃-
06.恋心デッドライン



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この間会ったときよりも綺麗になった?

そう問われたのは唐突で。前に会ってから約2週間しか経ってないのに、そんなことあるわけがない。お世辞をありがとうと微笑んだわたしに、彼はくすりと笑った。



「彼に止められなかったの?

お見合いに行くなんて反対されるでしょ」



「……言ってないもの」



「そうなんだ。ばれたら怒られそうだね」



「………」



そうなんだ、じゃなくて。

わたしはいま、お見合いに来たはずなのだ。──大事な取引先である、砂渡の息子との、お見合いに。



なのにどうして、堅苦しい着物から普段着に着替えさせられて、車に乗ってるんだろう。

……おかしい。 誘拐する気なんじゃないの!?




「念のため聞くけど、

HTDに連れていくわけじゃないでしょうね」



「はは、まさか。

向かってるのは俺の家だよ」



「……はい?」



「だから、俺の家に向かってるんだって。

あんな堅苦しい服着て、あんな堅苦しい料亭で話をするなんて莉胡ちゃんも嫌でしょ?」



……たしかに好きではないけど。

でも、家っておかしくない? え、おかしいよね?



「それこそ千瀬に怒られる……!」



「うん、だからばれないようにがんばって」



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