ダイヤモンドウエディング~キスからはじまる永遠の愛~《完》
「いただきます」


こうして拓真さんを部屋に招いて夕食を共にするのは二度目。

あの頃の私はまさか拓真さんとゴールインするなんて考えもしなかった。


「今夜は泊まっていきなさい。拓真君」

「いや、でも・・・」

「小陽とお話したいし」

「泊まらなくていいぞ。拓真君。陽那は小陽に余計なコトしか話さないから・・・」

「余計なコトって・・・若かりし頃の私達の話をしたいだけよ」

「それが余計なんだ・・・自分の知らない親のコトを訊いても面白くないぞ」

「訊いてて楽しいですよ。お父様」

「小陽お前まで…」

お父様は渋面で缶ビールを飲んだ。

「俺も訊きたいです。若かりしお義父さんとお義母さんの話を・・・」


「拓真君!?」

「そうじゃ後で教えてあげる」


「陽那お前!?調子に乗り過ぎだぞ!」


「二人共16歳の年の差があるし、人としてタイプも違いますから・・・どうやって知り合えたのかと」


「拓真君は何も知らないのか?私達は見合い結婚だ」

「見合い結婚なんですか・・・」

「見合いした当時は陽那は高校生で、私は帝和銀行の頭取を務めていた。全ては亡き父上の差し金だ。
年の差はかなりあるし、君の言う通り性格も全く違う。陽那の物事を深く考えず思ったコトを口にされ、何度恥かしい思いしたか分からない」


「その言い方は酷いですよ。敦司さん」


お母様がお父様に反論するけど、私もお母様の言動に恥かしい思いをした。
周囲はきっとお母様を空気の読めない人だと思っている。
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