ダイヤモンドウエディング~キスからはじまる永遠の愛~《完》
社長室から戻る途中の廊下で、拓真さんと淡路さんのツーショットを目撃する。

二人は別の方向に歩いていた。


不謹慎だけど、二人の後を付ける。


奥の休憩スペースで二人は話をしていた。柱の影で盗み訊くように訊き耳を立てた。

「秘書課で伊集院さんの歓迎会はしないつもりか?」


「歓迎会って言われても…彼女は伊集院元総理の令嬢、気を遣うでしょ?」


「その割には引継ぎを先延ばしにしてるじゃねぇか。本当に忙しいのか?」

「誰のせいで異動になったと思ってるの?
彼女のせいでしょ?私が別れを切り出したのだって・・・拓真が伊集院さんと婚約するっていう噂を訊いて」


「何だよ!?
それ・・・そんなのデマだ・・・」


「本当に?」


「まさか、そのデマ信じて、別れを切り出したのか?」


「そうよ」


「馬鹿だな」

甘さを滲ませる拓真さんの声に心臓がわし掴みされる。
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