ダイヤモンドウエディング~キスからはじまる永遠の愛~《完》
「お帰り、小陽」

拓真さんは眼鏡を掛けて、パソコンのキーを打っていた。


見た目だけはお父様と同じで知的に見えるが、中身は誠実さに欠けた男性。
キモチがないのに平気で女性を抱けるなんて信じらない。

拓真さんは私の初恋の人。

初恋は実らぬまま、想い出になった方がいいと言う人も居る。

今なら、まだ戻れるかな?
でも、拓真さんと結婚したい。

「また、お茶くみか?」


「はい、私の淹れるお茶は取引先の方に好評で」

「美人が淹れるお茶だから、美味いんだよ」

「コーヒーのおかわり淹れましょうか?」


私がデスクのカップに手を伸ばすと手首を掴まれた。

「いいよ。それよりもこっちに来いよ」

拓真さんが腰を上げて、強引に引っ張り込んで自分の方に引き寄せた。


何度も抱き締められた腕の中。

外した仕事用の眼鏡は胸ポケットに収めた。


「副社長の秘書は夜のお相手もするのが仕事だって言われました・・・」


「季実子か?」

「名前を呼ばないで下さい」

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