イケメン双子と、もれなく『腐』の付く残念女子と。

 空調管理は整っているとはいえ、スタジオ内に集まった人員やスポットライトの熱気に晒され、碧羽と双子はじんわり汗が浮かぶのを止められなかった。

「ううん、わたしなら大丈夫だよ。はじめてだから緊張してるけど、辛いとか具合悪いとかってことはないの。けど喉は渇いたかも」

 碧羽は頭上を指さしながら「たぶんあのライトが原因だよ」と、暑さの原因を凛に示唆(しさ)する。

 彼女が言うように、頭上からは殊更明るいトップライトが、モデルの肌を美しく照らしている。

 光を反射させるレフ板を持ったスタッフの努力もまた、碧羽たちを常夏気分にさせてしまう要因だろう。

 スタジオに入ってすでに二時間、三人は熱気に晒されつづけているのだ。

 凛は碧羽の体調を気遣い、甲斐甲斐しくも世話を焼こうと必死だ。けれど凛が彼女にまとわりつくことによって、余計に暑苦しい思いをさせているとはつゆと考えていない。

「まだ本番始まりそうにねえし、ちょっと休憩させて貰おうぜ」

 漸はそう提案すると、専属フォトグラファーである『茂上 春日(もがみ かすが)』の許へ、休憩をを取る許可を貰いに走ってゆく。
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