イケメン双子と、もれなく『腐』の付く残念女子と。

 ドーナツを口に銜えたまま、モゴモゴ喋るhacchi嬢は、安藤にお尻ペンペンして逃走を企てる。

 それに対して安藤は、まんまと彼女のペースに乗せられ誇りをかけた追い駆けっこがはじまった。

 それを呆れたように窺い見る漸が、

「下らなさが……ここに極まったか。つか、そろそろ宴もたけなわってか?」

 などと、締めの言葉を口にするのであった。

「おーい、漸! 何やってんの。テストシュートはじまるよ」

 漸がふたりの『仁義なきドーナツ強奪マラソン』を呆れ眼で傍観していると、凛が手を叩きながら彼を呼ぶ。

「ああ゛ッ!? てめえ、こら凛! 俺は犬か――……」

 凛に犬のように扱われ憤る漸であったが、碧羽を目にした途端にヒートダウンする。

 彼の目線の先には、白いドレスワンピースへと衣装を変えた碧羽が立っていた。

 まるで妖精のように可愛い彼女を直視できずに、頬を丸く染めて視線を逸らす、照れ屋な漸であった。

 それから彼はうつむき加減なまま、碧羽の許へと駆けてゆく。

「悪りぃ……碧羽……その……服もか、かわいい……ぞ」

「ありがとう漸♪ さっき新しいドレスに着替えて来たんだ」

 漸は顔を真っ赤にして、碧羽に見惚れている。そのとなりで凛が、ふたりの様子を笑顔で見守っていた。いつも三人はそばに寄り添い、片時も離れない。


 そして新しいストーリーの幕が、いま上がるのであった―――



 イケメン双子と、もれなく『腐』の付く残念女子と。第一期/end
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