きゅんらぶ・あそーと

4/6*今はもう君の声は聞こえない

【先生*授業中*保健室*切ない】


保健室のベッド
パリっと綺麗に敷かれた真っ白なシーツにそっと手を伸ばす。


グラウンドから体育の授業の掛け声
音楽室から合唱曲の練習の歌声
どこかの教室からチョークで黒板を叩く音
それをノートに書き写そうと鉛筆を走らせる音

静かな保健室に木霊する学校が生きている音


シーツをクシャっと握って少し乱す。


『私も体育で思いっきり走ってみたい』
『合唱コンクール、最後まで参加したかったな』
『皆と授業を受ける。それだけでいいのに』

『今日は風が気持ちいいね。先生も眠たいの?』

-お前が気持ちよさそうにしてるから

『ふふ、一緒にサボってるみたい』

-頭撫でててやるから少し休め

『先生、ありがと』


乱したシーツに頬を寄せると、春の香りと君の残り香


『ねぇ、先生』


君の声がして振り返る。

静かな保健室に木霊するのは、今はもう学校が生きている音だけって分かってるのにな。
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