きゅんらぶ・あそーと

1/6*あの子の名前と、私の名前

【先輩*放課後*校舎裏(夜)*後ろからギュッ】


「チカちゃん、中畑さん」

――露島先輩の事、気に食わない

チカだけ名前で呼ぶ。
私の事は名前で呼ばない。


「チカちゃんの事、好きなんだ。付き合って欲しい」
「私で良ければ…」

――嬉しそうにしてる先輩の顔、腹が立つ


「やっぱり、私、今好きな人の事、諦めきれない…」

――チカからの伝言を伝えた時の先輩の顔、『ざまぁみろ』って思った

「そういう事ですので」
「あ、待って、お願いがあるんだ」
「なんですか?」

――未練がましい伝言を頼まれるのかな、うんざり


「チカちゃんが罪悪感で潰れないように、相談とか乗ってあげてね」

――こんな時にまでチカの事、バッカじゃないの?

「お願いだよ、悠ちゃん…」


――後ろから抱きついてきた霧島先輩の顔は見えない
――でも『悠』と私の名前を呼ぶ声は震えていた

――チカはバカだ

―――霧島先輩は、こんなにも愛しい存在なのに。
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