きゅんらぶ・あそーと

10/20*震える指におまじない

【憧れの先輩*部活中*音楽室*後ろからギュッ】


「うん、上手になったね」
「響先輩のおかげです」

放課後、響先輩にピアノのレッスンをお願いしてる

去年のコンクール
緊張で指の震えが止まらなかった
あの時の周りの冷たい視線を思い出すとまた息が…

怖い怖い怖い怖い…っ

「なーのはちゃん」
「響先輩…?」

背中に温もりを感じる
先輩がぎゅってしてくれてるんだ…

「指、震えてるよ」
「大丈夫です。今年こそは…」

力を込めて指をグッと握りしめる
すると響先輩の手が私の両手を包み込んだ

「じゃんけんみたいだね」
「え?」
「僕パー。なのはちゃんはグー。僕の勝ち」

急にどうしたんだろう?

「僕が勝ったからお願い聞いてくれる?」
「えっと…?」
「本番、僕の為だけに弾いて欲しいんだ」

そして私の指にちゅっと唇をつけた

「緊張しないおまじない」

顔見えてなくて良かった…
でも震えは止まったけど、次は指先まで真っ赤になってるかも…
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