[短編]あまいこい
「さっきのじゃないの?」

「…作ってたのあげたくて。でも渡せなくて」

「…誰に」


怜くんの顔が不機嫌になる。


「ほかの人にあげたいものを俺に渡すの?」

「え?」

「俺の気持ち知ってるよね?」


怜くんが壁にあたしをどんどん追い詰める。


「違う」

「なにが?」


不機嫌なのが変わらない。
眉間にシワが寄っている。


「これは、」

「ん」

「怜くんの」


あたしは怜くんのお腹に押し付ける。

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