エリート外科医の一途な求愛
熱く深く迸る夜
その後、各務先生は私を夜のドライブに連れ出した。
ほんの一時間ほどで私をホテルに送り届けた後、『手段はなんでもいいから、とにかく明日は泊まらず帰って来い』と超一方的に言い置き、自分は最終便で東京にとんぼ返りだ。


翌、日曜日。
朝、顔を合わせた時から木山先生は終始不機嫌。
私の方は相手にするのも面倒で、生返事をしてシンポジウムの会場に付き添うだけ。
木山先生のディスカッションなど、耳を右から左へスルー。
こんなんじゃ出張報告書も書けないと思うくらい、全然頭に入ってこなかった。


そんな感じでシンポジウムは終わり、私は木山先生を福岡に置き去りにして、夕刻には東京行の新幹線に乗り込んだ。


月曜日は午前休を取っていたけど、昨夜の福岡からの新幹線移動で、朝から身体はバキバキだった。
どうせ出勤は午後からなのに、なんで昨夜のうちに帰って来ようとしたのか、今更ながら首を傾げる。
いくら、各務先生に言われたからって。


なんとなくくすぐったい気分で大学に着くと、正門付近にマスコミの姿が溢れ返っていた。
なんだか物々しい空気に首を傾げ、キャンパスを突っ切る。
敷地内でも奥まった医学部棟に近づくにつれて、その空気は更に強まっていく。
ちょっと不安な気持ちになりながら、私は建物の中に入った。


私が医局に着いた時、お昼休憩に行く前の美奈ちゃんが一人で仕事をしていた。
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