暗黒王子と危ない夜
初めてじゃない……。
危険な目に遭って、中島くんに助けを求めるようなことが?
前回も無事だったから今回も無事だって……。そんなの大丈夫って言い切れる理由にはならない。
そしてそれは、中島くん本人が1番分かってるはずじゃないの?
「中島くん、本当は心配してるよね? だから焦ってるんでしょ……?」
ぽろりと口からこぼれ落ちてしまった言葉に、中島くんの顔が不機嫌に歪んだ。
「……は?」
片頬だけをつり上げて、バカバカしいというように笑う。
「心配だからって理由で本多のために動いたことなんてないし、ありえない」
「でも、どうにかして助けたいって思ってるから、」
「違うよ。別に助けたいわけじゃない。俺は、」
ふと口をつぐみ。一瞬だけ、あたしから目を逸らした。