暗黒王子と危ない夜

だけど、昼休みになっても本多くんは教室に現れず。
ロッカーに荷物さえない。


気づけば最後の6限目が始まる時間になっていて、次第に気持ちが焦り始める。



本多くんに電話を……と思うのに、いざ連絡先を開けば指先が震える。

昨日のことが何度も頭をよぎって、どうしてもその名前をタップすることができなかった。



【ごめん三成。放課後、友達とカフェに行くことになったから、今日は送ってもらわなくて大丈夫って、本多くんに伝えてもらってもいい?】


結局こうなってしまうんだと、自分がいやになる。


三成は、すぐ本多くんに連絡を入れてくれるだろうと思った。

学校でもしょっちゅうスマホを触っている印象があるし、見た目によらずマメな性格だから返信も早そう……なんて。


メッセージを送ったあたしは、勝手に安心してしまってたんだ。

そして、それに既読がつかないことに気付かないまま、放課後になる──。
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