暗黒王子と危ない夜

本多くんと、中島くん。


お互いのことを “ 嫌い ” だと言いながらも一緒にいる、掴めない関係性ではあるけれど、繋がりの深さは出会って間もないあたしが見てもよくわかる。



「あいつ俺にぜんっぜん頼んねーし、むしろ危ねえことには関わらせないようにしてんだ。俺の家のこととか心配してんだろうけど、そういうのがマジでおせっかいってゆーか」



軽率に同調はできないけど……わかる。


傷付けたくないからという理由で線を引かれるのはつらい。

力になりたいのに、許してもらえないことも。


本多くんからすれば、それは優しさなのだろうけれど。

こちらからしてみれば、“ 必要ない ” と拒絶されているようで。



「だから中島ずりーなって思うんだよ。七瀬が危ねえとき、ちゃんと力になってやれるだろ」


本多くんは三成のことを大切な友達だと思っているからこそ巻き込まないようにしているし、三成は本多くんが大切な友達だからこそ力になりたいと思っている。

どちらの気持ちもわかるから、行き違っている思いがもどかしくもある。



「ま、ぐたぐだ考えててもしょーがねえよな。俺は中島になれねーんだし」


三成は優しい人だと思う。



「あいつらの仲は他人が容易く入り込めるもんじゃねえもんな。どんだけ嫌ってても、離れらんねぇのにはワケがあるんだし」

「ワケ……?三成は知ってるの?」


「大体な。けど、なんかうまく言えねぇんだ。色々複雑っつうか……おまけに人から聞いた話だから事実どうかもわかんねぇ」

「……そうなんだ」

「いっこだけ言うと、過去に、何かあった……らしいな。七瀬と中島」

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