暗黒王子と危ない夜



『お願いします。進級させてやってください』


『気持ちはわかるけど、一応決まりというのがあるからね……。そもそも本人は進級を望んていないかもしれないし』



『知っての通りあいつの家は……カタギじゃねえけど、だからこそっていうか。学校にいる間だけは、ちゃんと、普通の高校生に見えるんですよ……。なにより、俺がずっと一緒にいたいんですよ! とにかくお願いします!』


『……うん、そうだね。僕も僕なりに思うことはたくさんある。無理は承知で上に掛け合ってみるよ』


『っ、ありがとうございます』



『ただ、条件を出してもいいかな』

『……はい。なんですか』


『次の面談で、本人の口から直接それを聞きたい』



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