暗黒王子と危ない夜
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「なに話してたんだよ」
待合い室に戻ると、すぐに三成が話しかけてきた。
「……三成には言えない」
「んだよ。 お前まじで生意気になったよな」
はあーっとわざとらしいため息をつかれる。
「あ。そういやずっと言おうと思ってたんだけどよ。お前、黒蘭とかの話、友達に話してんのか?」
「えっ?」
「だからー。お前と仲いいギャルみてぇな女ふたりだよ」
「え、ああ。……してない、けど」
桃香と伊代には、一度他校の人に襲われそうになったことがきっかけで、登下校に付き添ってもらっているとだけ伝えた。
黒蘭の名前は出していない。こんな話、簡単にできるわけがない。
心配をかけるに決まってるから……。
「しろよ」
「え?」
「ダチには何でも話した方がいいぜ。気が楽になんだよ。あのふたりなら、ちゃんと親身になって聞いてくれるだろ」
ずっと言いたかったことってそれなの?と思ったけれど。
あたしのことを心配してくれてるんだと思うと嬉しかった。
「ありがとう。今度、話してみる」
三成はにやりと笑ってみせた。