暗黒王子と危ない夜
わかったってなんだよ、と軽く笑われる。

続く言葉が思い浮かばず、会話が終わってしまう。


しかも、今の質問感じ悪かったかも。

煙草吸うか吸わないか、とか、いきなり聞くことじゃないよね。

本命であるキスの話にも、もっていけそうにないし……。


どうしてあたしは、こんなに人と話すのが下手なんだろう。

どうやったら話を広げられるの? 自然に繋げられるの?


桃香や伊代みたいにコミュニケーション能力に長けていればよかったのに……。



昇降口を出ると「正門?裏門?」と三成くんが聞いきた。

どっちでもいいけど……。

答えようとしたとき、あることに気づいた。




「あれ? 三成く……三成、そういえばバイクじゃない、の?」

「はあ?徒歩だよ徒歩。お前送ったら電車使うけどな」


「でも、この前バイクだった、」

「バカなのか? あんなので学校に乗り入れられるわけねえーだろ」

「……そう?」



言われてみれば確かにそう。

バイクとか詳しくないけど、通学に許可されているバイクは原付きだけだったはず。


「そもそもな、大型は免許取れんの18からだから」

「へえ……そうなの?」

「そんぐらい知っとけよ。ジョーシキだろ」

「う、そうなんだ」



……って。


「え?」

「なんだよ」

「三成くん、今何歳?」

「"くん" いらねえ。 うん、17だけど」

「……」
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