完璧なる後転

貴重な時間が過ぎてしまう。

杉田を無視しようと心に決め
ハイハイ状態でマットの端まで行くと

「もっと身体を丸めたらいいよ」って言われた。

「丸めてるよ」

ダンゴ虫になってるけど

杉田は「もっといける」って言い
マットの端を少し織り込んで
傾斜をつけてくれた。

「最初はこの状態でやれよ。坂道を背中から転がる感じ。自分のヘソを見るくらいに身体を丸めて、途中で止まらないように、身体は伸ばさない」

てきぱきと指示し
私をマットの端に座らせ
耳に添えてる両手の角度を直してくれた。

だから私は
また
せーのーで……で
クルリと回ろうとすると身体が軽くなる。

杉田が横で補助して
回転を手伝ってくれていた。


さっきよりスムーズ。
首も頭も痛くない。

そうか
回転が速いんだ。
ゆっくりやると負担がかかる。

「できた!」
私は喜ぶけど
杉田には笑顔はない。

「曲がってる」
クールに言われ
私は自分の体制を見ると

確かに
また斜めに進んでる。

そう
いつもなんだけど

なぜか曲がる。

まっすぐいかない。
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