◆あなたに一粒チョコレート◆
vol.3

もうガキじゃねぇよ

「春。顔が幽霊みたいだけど」

「だって、朝練の道具出しとか後片付けやってたんだもん。朝ご飯食べる時間無かったし」

「で、一時間目はなんでサボッてたのよ?」

「それ、知りたい?!後悔するよ!?」

怒りに燃える私を見た菜穂が、キラキラと瞳を光らせた。

「聞く聞くっ!」


***

事の起こりは約二時間前。



「道具はここにあるから」

「了解」

同じクラスで野球部の浪川に道具置き場に案内してもらった私は、軽く手を上げると小さく返事をした。

……ただひとりの生き残り……いや、インフルエンザから生還した三木さんは、家が恐ろしく遠いらしくて朝練の用意には間に合わないらしい。

その代わり、後片付けを担当しているらしいけど、やっぱり手伝わないわけにはいかない。

ようやく朝練が終了し、部員達と手分けして道具をしまうと、三木さんが私に声をかけてきた。

「お疲れ、川瀬さん。私、朝練の出席簿を顧問に渡してくるね」
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