超短編 『エキストラ』
ファミレス
仕事も終わり、少し遅めの昼を食べようとファミレスに入った。

やってきた店員に、
「日替わりランチに、ドリンクバー。あっ、ライス大盛りで」
と、頼むと煙草に火をつけた。

しばらくすると、店長かマネージャーなのか、やってきた。

「お客様、大変申し訳ありませんが、実は本日ドラマの撮影があるのですが、よろしいでしょうか」

「えっ、どういうこと?」

「お客様に、よろしければエキストラとして、撮影に参加していただけないかと思いまして」

「そんなこと言われてもなぁ。経験なんかないし」

「いえ、普通にお食事をしていただければ、十分なんですけれど。他のお客様には、もうご了解をいただいております。」

「でもなあ、、、」

「今日のお食事代は、結構ですので」

そんな訳で、エキストラをすることになった。が、ただ食事をしていればいいというので、気は楽だった。昼飯代も浮くし。

店内を見れば、端っこの方にカメラとかスタッフがいる。

「用意、スタート」

店内に声が響き渡った。

間もなく、俺の頼んだ日替わりランチが運ばれてきた。ハンバーグと白身のフライだった。

俺はナイフでハンバーグを一口サイズに切り、フォークで口に運ぼうとした。

すると、若い娘が目の前にやってきた。

「ねえ、助けてください。追われているの」

そういうと、俺の前の席に座った。

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