断罪アリス


伸ばされた手は私に届くことなく、倒れた身体と共に通路の床へと落ちた。




「和真ぁっ!」




私は和真に駆け寄るとその身体を抱き起こした。



首から溢れる生温かい赤が私の服や手を赤く染める。




「和真っ!和真….っ!」




何度名前を呼んでも、手を握って身体を揺すっても和真が閉じた目を開くことはなかった。




それもそうだ。



既に彼の呼吸は止まっていたから……。




「和真….…、あぁあああああああああぁぁあっ!」




涙と共に慟哭が喉を引き裂いた。




「アリス!和真!」




私の後を追いかけてきた朱鷺達は目の前の光景に息を飲む。





その時はもうヒカリはいなくて、その場には血塗れで息絶えた和真と泣き叫ぶ私の姿しかない。




私は最愛の人を失った。




こんなことになるんだったら、素直に和真に気持ちを伝えていれば良かった。




でも、後悔したときにはもう全て遅かった。



もうその素直に言葉を伝えたい人はこの世にはいないから──。





≪アリスside end≫
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