断罪アリス


「……別に。俺はただ、アリスと小鳥遊君を守りたいだけだ」




アリスは何がなんでも守るつもりだった。




アリスは俺をあそこから引っ張り出してくれた恩人だったから。




でも、小鳥遊君はどうでも良かった。




それなのに、アリスが守ると言って傍にいたら彼も守らないといけないと思うようになった。




理由は分からない。




ただ、彼を守れなかったらアリスが悲しむと思ったから……。




「そう……。ありがとう、朱鷺」




潮は腹の傷の治療を終えると、小鳥遊君よく似た顔で穏やかに笑う。




お礼を言われることをしているつもりはない。




俺は俺が守りたいものを守るだけだ。




「……朱鷺、私も同じよ。私も守りたい人達がいる。貴方を一人にはさせないわ……」





芯の強い彼女の言葉が俺を再び動揺させる。




彼女の言葉が意味することは俺がしようとしていることと同じことを思っている言うこと。





「潮……、アンタは──」



動揺で微かに震えた俺の声に、彼女はまた穏やかに笑った。





まるで、俺が言おうとしていることを分かっているかのように──。





≪朱鷺side end≫
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