断罪アリス




目を開けると、小さく息を吐く。




「約束……か……」




譫言のように呟いたその言葉は部屋の中に溶けていく。





俺はずるい。




その約束を俺は守れないと分かっていたのに、彼女の傍にいると約束した。





もし、俺がその約束を守れなかったとき、彼女はどうするだろうか?





怒るだろうか?




それとも泣くだろうか?





どちらにせよ、俺は彼女を悲しませてしまうだろう。





泣いて欲しくないけど、泣かせてしまうだろう。





俺は酷い奴だ。




それに約束を守れないと言っても、≪僕≫の言うとおり人を殺さないという信念を曲げるつもりはない。




かといって、≪僕≫に人を殺させるつもりはない。




でも、俺は殺さないといけない。




俺自身を──。




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