断罪アリス


「天河ァァアァァア!」




俺の腕から暴れて逃れようとする切碕を俺は押さえつける。





──ごめんな、もう一人の≪僕≫。せっかく、目覚めたのに俺のせいでこうなって……。





『気にするな。僕はお前だ、お前が死ぬときが僕が死ぬときだ。お前を一人にはしないさ』




──ありがとう、天河。





中の僕に語りかけていると、上から俺を呼ぶ声がする。






「コトリ君!」




目線を向ければ、アリスさんが俺達の後を追って飛び降りようとしているのを和泉が止めている姿が見えた。





彼女は泣きそうな顔をしている。




俺はさっき彼女にこう言った。





『俺はアリスさんが好きでした』




──と。




過去形なのは言わずもがな。





だって、俺は今から──。





「切碕、俺はお前を許さない」




お前が……俺がいるから彼女が泣くんだ。





だからさ……。





次の瞬間、肺の辺りに鋭い痛みを感じ、俺は意識を手放した。






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