断罪アリス


「よく頑張ったな、天河……」




小鳥遊さんもなっちゃんも彼を褒めるように頭を撫でた。




最愛の息子を、弟を亡くした三人の気持ちは家族じゃない私には分からない。




だけど、好きな人を亡くした気持ちは分かる。




もう味わいたくないと思っていたこの気持ち。




それなのに、世界は残酷だ。




私はまた大切な人を失った。





「天河……」




眠ってしまっている好きな人の頬を撫でた。





彼は私のこの温もりを離したくないと言った。




「君も温かいよ……」




私もいずれは消えてしまうこの温もりを離したくない。




私は彼の温もりを忘れないように手に感じながら溢れる涙を流すのだった。







≪アリスside end≫
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