断罪アリス


「そう……。どっちか分かったの?」




「多分女だろうって言われた」




なっちゃんは膨らんだお腹を優しく撫でる。




性別が女か男か分からない頃、なっちゃんは言っていた。





もし、男だったら死んだ弟の生まれ変わりかもしれない、と。





でも、母になる彼女からすれば元気で生まれてくれるなら性別はどうでも良いはずだ。




「それより、例の部隊の結成が国会で可決されたらしいな」




彼女の言う例の部隊とは≪翔鷹≫のことだろう。




半年前、天河と切碕が死んだ頃。




生き永らえた切碕の仲間が三名家と国が行っていた人体実験を公にした。




それより、国と三名家のやり方に賛同する者と反発する者が現れた。




反発は暴動を起こした。




その暴動を抑えるために国は≪翔鷹≫を作ったのだ。







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