Spice‼︎
スキャンダラスな女
会社に戻った梨花を見る目は厳しかった。

スキャンダラスな梨花は
”仕事の出来る藤城さん”から
”男関係が派手な藤城さん”に
変わってしまったみたいだった。

やたらと男性社員から誘われ、
女性社員からはバッシングを受ける。

特に一部の女子社員は梨花を目の敵でも見るように
睨みつけ、蔑んで
嫌がらせにコーヒーをわざと梨花の服の上に溢して
白いシャツに茶色いシミが出来た。

それを見かねて一人の女性が立ち上がった。

「つまんない嫌がらせして恥ずかしくないの?」

助けてくれたのは商管4課で一緒だった長谷川香織だった。

「類は友を呼ぶってこのことね。

部長と不倫して飛ばされる方が恥ずかしいんですけど…」

と相手の女は笑って茶化した。

「男居なくてモテる女に八つ当たりする奴のが惨めなんですけど…」

香織は負けずに言い返した。

「藤城さん、行こう。
こんな腐った奴ら相手にする必要無いから。」

「ち、ちょっと!何なのあの女…!」

男性社員達はそれを見て梨花と香織に同情する。

見た目どう見ても明らかに嫉妬としか思えなかった。

梨花と香織が並ぶと最強の美しさだったからだ。

香織は梨花を屋上に連れて行った。

「大丈夫?よく戻ったね?どういう心境の変化?」

梨花の顔を覗き込んで香織が聞いた。

「なんかこのまま引き下がるの悔しくなって。」

「うん、そうだよ!頑張ろう!お互いね。」

香織の存在が梨花にとってこの後も大きな助けになることをまだお互い知らなかった。
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