Spice‼︎
新しいオモチャ
「僕が見てたのは藤城さんですよ。」

「え?私?」

「ずっと素敵だなって思ってて。」

社内で話題のイケメンNo.1に言われて悪い気はしない。

「もしかして口説いてる?」

「そういう訳じゃなくて…」

梨花は恥ずかしかる風間を少し揶揄いたくなった。

「風間くんがそのつもりなら私はオッケーだけどな。」

「え?」

「割とタイプなんだけど…」

風間は目の前のカクテルを一気に飲み干した。

「出ませんか?」

「え?まだ来たばっかりなんだけど…」

「良かったら僕の部屋で飲みませんか?」

半ば強引に梨花の手を握り、
風間はバーの外に梨花を連れ出した。

コンビニでお酒を買って風間は歩き始める。

「気がすすまないなら…無理強いはしません。」

急に弱気になったのか風間は振り向いてそう言った。

「お酒飲むだけでしょう?

別に大丈夫だけど…」

「それだけじゃないかも…」

あまりにストレートで梨花は笑ってしまう。

「わかってるけど…」

突然風間が梨花の手を掴む。

「じゃあ逃しませんから。」

そう言って早足で歩いて行く。

目の前に金持ちしか住めない高層マシンションが見えてきた。

「風間くん、ここに住んでるの?」

「まぁ。」

「金持ちなの?」

「親の持ち物ですけどね。」

「ふうん。」

「金持ちですよ。親はですけど…惹かれます?」

「親でしょ?それに金持ちかどうかで男は選ばないから。」

「いずれはここも僕のものになりますよ。」

「結婚するわけじゃないし、興味ない。」

それを聞いて風間は少しホッとしたような顔をする。

「藤城さんはやはり思った通りの人ですね。」

そして、梨花は風間と手を繋いだままマンションに入って行った。
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