Spice‼︎
triangle serenade
梨花が帰ってきたのは明け方だった。

そーっと部屋に入るとソファに風間が寝てるのを見て
あまりにビックリして思わずバッグを落とした。

その音で風間もヒロも目が覚めた。

「あ、梨花…遅かったね。
お帰り。」

ヒロは何事も無かったように目をこすりながらそう言った。

風間は何も言わず梨花を見ている。

「か、風間くん?」

「あ、ごめん。
昨夜、彼が訪ねてきたから一緒に飲んでた。」

ヒロはそう言ってベッドから起き上がると2人のためにコーヒーを入れてくれた。

梨花と風間は黙ったままソファに座ってお互い見つめ合う。

「俺、寝てるから2人で話して。」

ヒロの朝は遅い。

明け方に起きることすら珍しい。

ヒロはベッドに戻るとそのまま眠ってしまったようだった。

「梨花さん…ごめん。

ずっと逢いに来なくて。」

梨花はコーヒーを飲んでただ黙っている。

「昨夜は桐原さんと?」

「プライベートは話したくない。」

梨花の首筋に桐原が愛した痕が見える。

風間はそれを指で触れようとした。

梨花はその手を払い、
風間を睨んでいる。

「怒ってるよね?」

「私とのことどうするつもりだったの?
風間くんは私のオモチャじゃなかったの?

勝手に結婚決めて、そうかと思えばやめて…

私の前に姿も見せないなんて。

オモチャはクビだからね。

それに会社にはどうして来ないの?

いい社会人がそんな簡単に仕事辞めたりするなんてあり得ない!」

梨花は一気に怒りをぶつけてきた。

風間はただそれを黙って聞いていた。
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