Spice‼︎
そして長い沈黙の後、
ようやく口を開いた。

「僕はどうすれば?」

「風間くん…お願い。

もう私のために何も捨てないで。

お父さんと仲直りして…社長になってよ。

じゃないと私…」

「桐原さんが社長になれなくなりますよ。

それでも良いんですか?」

「元々は風間くんがなるはずだったじゃない。

桐原部長は社長にならなければ自由になれる。」

風間は社長なることより梨花が欲しかった。

でも結局、梨花が欲しかったのは桐原だった。

「わかりました。

梨花さんが望むならそうします。

だからもう泣かないでください。

桐原さんを梨花さんの所へ必ず行かせます。」

風間は部屋を出てヒロに連絡した。

「大丈夫でしたよ。」

「そうですか。ありがとうございます。」

そう言って電話を切ろうとすると
風間が話を続けた。

「梨花さんを桐原さんに返します。」

風間がそう言ってヒロは瞳を閉じた。

「…わかりました。」

その日、仕事が終わるとヒロは希に電話をかけた。

「近々そっちに行く。

希と暮らすことにした。

もう少しだけ待っててな。」

受話器から希の喜ぶ声がして
ヒロは少しホッとする。

そして梨花の幸せを願って
ワインを注いだグラスを高く上げて飲み干した。







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