Spice‼︎
梨花は帰るとその事をヒロに話した。

「ヒロくん、私ね上海に行くかもしれない。」

「上海?何でまた?」

「仕事でね。短くても2年くらいだって。」

ヒロは飲んでいたグラスをうっかり落としそうになった。

「に、2年?
旅行とかじゃなく?」

「だから仕事だって。」

梨花はもう自分と一緒になる意思が無いと
ヒロにはその時はっきりわかった。

「上海か…言葉は大丈夫なの?」

「何とかなるって。仕事の間は通訳さんもいるし…

でも行くまでに日常会話くらいは勉強しないとね。」

「いつから?」

「秋だって。もうそんなに日もないんだけどね。」

「俺はどうすればいい?

梨花が行くまでここにいる?

それともその前に出てって欲しい?」

「ヒロくんの好きにしていいよ。

ここは引き払ってもいいし、
ヒロくんがそのまま住んでてくれてもいいよ。」

「…うん。考えてみる。

それって決定なの?」

「ううん、まだ少し考えてる。

だから…もし行ったらの話なんだけどね。」

多分梨花は行こうと思ってる。

桐原や風間から…そして自分からも逃げたいのだとヒロは思った。

「梨花…」

ヒロが突然梨花を抱きしめた。

そしてまだ一口しか飲んで無い缶ビールを
梨花の手から取るとテーブルの上に置いた。

キスしながらソファに押し倒すと
上から覆いかぶさるようにして
梨花の自由を奪う。

「俺はもう必要無くなるんだな…」

そう言って梨花の言葉を待たずに
キスで口を塞いだ。







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