Spice‼︎
お風呂から上がると身体を拭いて髪を乾かしてくれる。

そのあとは着せ替えだった。

下着をつけて風間の部屋に置いてある服を何着も着せては脱がす。

「もういい加減にして。」

梨花はそう言ったけど…ホントは自分も楽しんでる。

「うん、これがいい。

梨花、これを着てデートしよう。」

風間が着せてくれた服は見覚えがなく
高級なブランドの服だった。

「これって?」

「梨花さんに似合うと思って買ったんです。」

「別れたのに?」

「絶対に手放さないって信じてたから。」

別れてる間も風間は梨花のことを考えてくれていた。

「風間くん、ご褒美あげる。」

梨花は風間の頰を冷たい手で包んで口付ける。

「梨花さん」

「何?」

「人形は自分からキスしたりしませんよ。」

「もう人形ごっこは飽きたの。」

「じゃあ僕はオモチャに戻ります。」

「そうして。」

そして手を繋ぎ、外に出た。

「せっかくの服だから良いところでごはん食べましょう。」

風間は梨花を連れて銀座のフレンチの店に行く。

「素敵だね。

風間くん、いつもこんなところでデートしてるの?

茉美ちゃんは幸せだな。」

「彼女は連れて行きませんよ。

いつも会社の近くの安いけど美味しくて有名なイタリアンとか、回転寿司とか…ですかね。

でもそれなりに喜んでくれますけど。」

「そりゃ好きな人と一緒ならどこでもいいんだろうけど…でもたまには連れて来てあげたら?」

すると風間は少し怖い顔をして言った。

「梨花さん、梨花さんは特別なんですよ。

梨花さんにとっては…
いらなくなって簡単に捨てられるオモチャでも…」

梨花は風間と離れていた辛い時間を思って泣きそうになる。

「私にとって…
風間くんは愛着があってどうしても捨てられないオモチャだった。」

そして風間も梨花の特別だった。
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