Spice‼︎
シークレットホテル
その夜、風間は父の元を訪ねていた。

「あんまりです。

なぜ彼女にそこまでしたんですか?」

風間の目は怒りに満ちていて
その姿は尋常とは思えなかった。

「確かに美人だな。

お前が夢中になるのもわかるが…
あの女はダメだ。

男はお前だけじゃないだろう?」

「土方さんとは昔のことで今は関係ありません。」

父親は書斎の机の引き出しから写真を数枚ポンと投げるように置いた。

そこには梨花の部屋に通う風間と土方の姿があった。

「まだ付き合ってるんだろう?

お前と揉めたのか、ケガをしたんだな。」

土方が梨花を病院に連れて行く様子や
風間が明け方帰る様子が写真に収められている。

「彼女のこと調べたんですか?」

「調べたというより、お前の行き先を辿っただけだ。

そしたら偶然こんな写真まで撮られたワケだ。

こんな女に騙されるなんて恥ずかしいと思わないのか?」

監視されていたかと思うと
風間の怒りは限界に達した。

「とにかく彼女が辞めるなら私も辞めます!

お父さんの言いなりにはなりません!」

「母親がどうなってもいいのか?」

風間はそれを言われる覚悟が出来ていた。

「母を盾に脅迫するんですか?

あなたはそれでも私の父親なんですか?」

父親は何も言わずに風間の言うことを目を閉じて聞いているだけだ。

「わかりました。

上條さんのお嬢さんに会います。

だから彼女のクビは撤回してください。」

父はやっと目を開けて風間を見た。

「結婚してもらうぞ。」

「わかりました。」

梨花の為に風間はお見合いすることになった。

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