ヴァージンロード <続>Mysterious Lover
12. ヴァージンロード

1年半後の7月——


オレは、横浜にある小さなチャペルの祭壇の前で、奈央さんを待ってる。

あれからカレッジのプログラムを終えたオレは、日本に帰国。
今年の春、東京でウェブコンテンツを制作する会社を立ち上げた。
主な顧客は日本やアジアに支店を展開する北米企業で、彼らの現地法人のホームページや、システム開発を請け負ってる。

メンバーはまだまだ数人の小さな会社だけど、まぁ今後に期待ってところかな。


見渡すと、そこにはお世話になったたくさんの人たちの姿が見える。

東京からは、高城さんや田所さんたち、奈央さんの同僚も駆けつけてくれた。
その中の一人、ウェブチームの松園チーフは、来月からオレの同僚になる予定。
実は引き抜いちゃったんだよな。
田所さんからは相当恨まれたけど……。
田所さんも、うちに来てくれないかな。そのうち、声をかけよう。

ヴァージンロードの端には、カメラを構えて待つ高林さんがいる。
ぜひ出席者の一人で、とお願いしたのに、
「この役目だけは譲れないよー」と言い張られ、結局披露宴や二次会まで含めて、すべての撮影をお願いすることになってしまった。
きっと、オレたちの宝物になるアルバムができるだろうな。
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