ヴァージンロード <続>Mysterious Lover
最初のショックが過ぎると、オレは状況を受け入れようとした。
必死に。自分を納得させて。
忘れなきゃいけない。
あの人を、忘れなきゃ。
幸い受験生だったこともあって、オレは勉強に没頭することで、忘れようとした。
でも、なかなか心は、スイッチ一つで切り替わるって感じにいかなくて。
次第に。次第に。
オレは、自分の中に渦巻くどす黒い欲望に気づき始めた。
あの人を、オレのものにしたい。
誰にも、渡したくない。
オレ以外のヤツがあの人に触れるなんて、絶対に嫌だ。
そして。
唐突に思い出した。思い出してしまった。
自分が、工藤博臣の息子であるという事実を。
お袋を束縛し、怯えさせ、傷つけた、あの悪魔みたいな男の血が、自分の中にも流れているという事実を。
もしかしたらオレは……いつかあいつと同じように、
奈央さんを傷つけてしまうんじゃないか?
手に入らないあの人を想って、募るばかりの恋心を持て余し
いつかそれが爆発したら……?
他の男のものになるくらいならいっそ……と、思ってしまったら?
あの時の、工藤と同じように。