ヴァージンロード <続>Mysterious Lover

そうか……
オレじゃなくても、彼女を笑顔にできるのか。

心臓が、冷えていくような。
何かが凍り付いて、機能を失っていくような感覚が広がって。
感情が、麻痺していく。

オレじゃなくても……いいのかもしれない。
彼女の、そばにいるのは。
オレじゃなくても……いや、オレじゃない方が。
いいのかも。


——お前に、この中に入る資格はない。

そうだ。オレには……資格が、ない。
彼女に、愛される資格が。


ドアに伸ばした手を……下ろした。
そして握りしめる。
神経がイカれるんじゃないかってくらい、強く。


広告代理店の営業マン。ただの仕事仲間。
あいつとなら、
過去のしがらみも、何も関係なく。
ただ恋愛を楽しむことができる。
周りから、たくさんの祝福を受けて——


オレは、踵を返し。
白く冷たい廊下へ、足を踏み出した。
一歩一歩遠ざかるあの人の笑い声を、背中に感じながら。
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