なぜか私、年下ヤンキー手懐けました。
こんなことなら、もう少し興味を持って取り組めばよかったかな…なんて。


まぁ、今さらなんだけど。


「そんなファンタジーな漢名がついていながら、スイセンの花言葉がなかなか切ないんですよ」


「どんな花言葉なんですか?」


「黄色いスイセンの花言葉なんですけどね…」


そう言って、土から顔を出すスイセンに目を伏せる先生。



「“もう一度愛して欲しい”、“私のもとへ帰って”」



もう一度愛して欲しい。


私のもとへ帰って。



……すごく切ないのに、すごくすごく真っ直ぐな気持ちが込められた、綺麗な言葉。


何だか胸がぎゅっと締めつけられた。


きっと、私みたいに意地っ張りで、自分の気持ちを伝えることが苦手な人間には一生縁のない言葉。


だけど…ううん。だからかな。


黄色いスイセンの花言葉は、私の心に深く焼き付いた。


「……素敵ですね」


「でしょ?」


冷たい風が、先生の艶のある黒髪を揺らす。



………この人は、私が3年間好きだった人。



私にほんの少しの勇気と、無鉄砲さがあったら、もっと何か変わっていたのかな?


ううん。


変わるはずない。



だって、この人は教師で私は生徒なんだもん。


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