男嫌いな女王様とクールな臣下
「ありがとうございます。もう一つお聞きしたいことが……
堀田土地開発さんのメインバンクは、大平さんですよね？」


「ああ、そうだけど」


「融資係の宇月から、何か言ってきましたか？」


「いいや。今のところは、まだ」

宇月って呼び捨て？

川崎は、驚いた。前野は、礼儀を知らないやつじゃない。
訳が分からないって顔で前野のことを見る。


「川崎専務、宇月から何か言って来たら、すぐに私に、彼らが何て言ってきたのか知らせてくれませんか？」前野が真剣に見つめてくる。


「なんだ、どうなってるの？君は宇月の次男坊を知ってるの？」


「やっぱり、あのくそ野郎が絡んでるんだ」


「くそ野郎だって？ちょっと待ってくれ。相手は、会長の息子だよ。君も言うね」

心の中でそう思っても、なかなか口に出す奴はいない。
川崎は、笑いが止まらなかった。この若者は何なんだろう。

「肩書は立派でも、中身は屑ですよ。表向きは立派そうでも、中身は最悪です。
安易に取引に応じないように朱音さんに伝えてください」

「なんのことかわからんけど、一応伝えておくよ」
度胸だけは、あるらしい。


「ありがとうございます」
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