お見合いですか?
 そして今、口止めされていた藤堂さんと、出来上がった、試作品を試食している。
「やっぱり、梨はちょっと不味いですね。」
藤堂さんがはっきり言う。
「うーん、合わないですね。」
本当の事なので、同意しておく。
結局、3つの試作品の中で、商品化出来そうなのは、1つだけだった。

 まぁ、そんなもんだよね。
通ったのは、りんごとさつまいものパウンドケーキだった。
梨のチーズケーキは失敗だ。
そして、もう1つが、柿とかぼちゃのタルトだった。
 「柿はちょっと、皮を剥くのが大変で、他の素材にしてほしいそうです。」
藤堂さんが、工場側の意見を伝えてくる。
 「そうですか、・・じゃあ、他のものでもう一度考えてみますね。」
取り敢えず、もう何品か考え直すという事になった。
 正直、もうアイデアがないんだけどなぁ。
と、心の中で嘆息した。

 藤堂さんとの、試食がおわり、会議室をでた。悠斗さんが見当たらない。
林さんに連れられてどこかへ消えた。
もう、昼休みの時間なので廊下には誰もいなかった。
隣を歩く藤堂さんに聞いてみても、悠斗さんがどこにいるか解らなかった。
エレベーターに乗り、正面玄関で藤堂さんと、別れた。

 駐車場の片隅で、電話をかける。
「もしもし、もう、打ち合わせも終わったんで、お昼行きたいんですけど、どこにいるんですか?」
「ああ、ごめん。ちょっと伯父さんに捕まっちゃって、先に休憩しててくれ。」
「分かりました。」
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