お見合いですか？

　「いや、愛実、ちょっと聞いてくれ、確かに、お前には言わなかったかもしれないが、父さんはルームシェアだって聞いたんだ。」
「まぁ、ルームシェアみたいなものだけど。」
「じゃあ、いいじゃないか。寝室は別なんだろう？」
「そうだけど・・・」
「まぁ、ルームシェアでも、同棲でもどっちでも良いじゃん。アネキは、上手くいってるみたいだし？」と、翔がまた、ニヤニヤして言った。
「何よー、気持ち悪い顔して。」
「気持ち悪いってなんだよ。つーかさぁ。俺見ちゃったんだよねー。車のなかでー」
「ちょっ、ちょっっとー、翔、それは人違いよ!!勘違いよ！見間違いよー！」
「いやー、それはないっしょ。自分の視力の良さを恨んだね。まさかアネキのキスシーンをみる羽目になるとは…」
「ダーカーラー!!人違いだって！！」
大声で、遮るも、父親もバッチリ聞いたらしい。
「な、なによ。お父さんまで、気持ち悪い顔して。」
「そっかぁ、とうとう愛実にも春が来たか。」
「違うって言ってるでしょうが！」
「まぁまぁ、照れるなって、アネキ」
「うっさい」

「愛実、言い忘れてたが、武中君、前に一度、家に来たんだ。わざわざ、鍵を届けに来てくれたんだが、愛実さんの嫌がることはしませんから、だから、認めてくださいって、お父さんに、頭下げたんだ。だから、父さんは、安心してお前に鍵を渡せたんだ。」

「へー、そんな大事なこと、黙ってたんだぁ。酷くない？それって、悠斗さんにも失礼なんじゃないの？」

「いや、武中君は、この事は黙っててくれって、、」
「だからって、ルームシェアのことも黙ってる必要はないんじゃないかなぁ？」

「す、すまん。愛実。お前が駄々をこねたら、面倒臭いから、つい、言いそびれた。」
「やっぱりそうかい！！」

「まぁ、アネキ。あんまり親父を責めるなよ。
とにかく、今幸せなんだから、いいじゃねーか。」

「幸せなの？」
「そう見えたけど。」
「そう・・　見えた？」
「ああ、少なくとも、5年前よりはずっと、いい顔してる。」